2020年9月11日
革の話 - 「革の仕上げの違い」

先日、雰囲気の良いビッグサイズの三人掛けソファのリペア依頼を受けました。アニリシン仕上の本革で、一見、スエードのような風合いなのですが、長い年月ご使用されて座面のヘタリと、表面の傷、シミ、汚れを綺麗にしたいとのことでした。
アニリシン仕上げとは染料仕上げのことで、色のついた染料を革の繊維に浸透させて色を付ける仕上げ方法になります。下の画像のように、銀面(革の表面)はもちろん、床面(革の裏側)も色がついています。
革の銀面革の表面を隠したりしないので、革の質感や風合いを活かし、革の経年劣化を楽しめるのが特徴です。

染料仕上げで販売されている革は、傷の少ない状態の良い革と言えます。高価なイメージのイタリアンレザーも、その殆どは染料仕上げです。ですが、革が乾燥したり汚れが付いたり、光沢が落ちたりもするため、長く美しく使うにはメンテナンスが必要になります。
今回修理依頼のあったソファは、長年の使用により、人の脂シミ、摩擦による荒れ、傷が見られましたので、補修方法として顔料塗装による再塗装を施します。
染料と違い顔料塗装の場合は、革表面に被膜ができるため、染料の革より水分や油分に強くなるメリットがあります。既に劣化した状態からの修復で、これからも使用し続けるためには、効果的な手法となります。
蘇ったソファはまた紹介させていただきます。